前回は…
札幌近郊で酪農体験ができる!
そんなネット情報を見つけてしまい、いてもたってもいられなくなった今回。早速ネット経由で申し込みを入れました。札幌から車を走らせること約30分強。到着したのは「関ファーム」さん。今回お世話になった酪農家さんです。到着予定時間より20分くらいは早く着いてしまったため、関ファームさんから車で2~3分くらいの養鶏場兼直売所「太田ファーム」さんで美味しい卵を購入してきました。
関ファームの外観と場所
今回ご訪問させていただきました「関ファーム」さんでは、2月頭から3月末までの期間限定で酪農体験を行っています。料金は大人1名3,000円。午前中で一通り終了する体験プログラムで、とても気軽に酪農体験を行うことができます。なおプログラム詳細と「関ファーム」さんの場所につきましては、以下に詳しく記載します。
関ファーム 酪農体験
- 料 金:大人1名(12才以上)3,000円
- 開催期間:2018年2月1日~3月31日
- 所要時間:現地集合プラン 約2時間
送迎付きプラン 約3時間 - スケジュール :現地集合プランの場合
〇09:20 現地集合、つなぎと長靴に着替え
〇09:30 酪農生活体験
<牧舎見学・エサやり・子牛への哺乳・搾乳など>
〇11:30 現地解散 - 最少人数:2名より
- 支払方法:事前決済
牛舎の中で仔牛とのふれあい体験
長靴に履き替え、早速牛舎の中に。
「関ファーム」の「川口谷」さんに酪農のことを色々と教えていただきました。川口谷さんは元々東京の方で、酪農家は奥様の実家の家業だったそうです。それを川口谷さんが引き継ぐこととなり、2009年に現在の江別市角山に移転。牧場の名前「関ファーム」の「関」は、奥様の旧姓なんだとか。なお移転前は札幌市白石区の北郷に牧場があったそうです。
牛舎の中には約50頭ほどの牛が飼育されていました。
関ファームは肉牛ではなく乳牛がメインの牧場。そのため大半の牛は牛乳の出が良いとされている「ホルスタイン種」でしたが、中には1頭ずつ「ジャージー牛」や「黒毛和牛」も飼育されていました。関ファームは「サツラク牛乳」の生産者の内の1件。そのため搾乳した牛乳は、全て「サツラク牛乳」に卸しています。
まずは「仔牛への授乳体験」を行いました。
こちらは昨日生まれたばかりの仔牛。まだ毛が渇ききっていなく、しっとりとぬれていました。
こちらの牛は、生後1月半程度。
手を差し出すとミルクと思って吸ってきます。牛には上の前歯がなく、下の歯と固い歯ぐきで草をすりつぶして食べるのだそうです。そのため吸われても痛くないとのこと。まずは牛に慣れるために、牛に手を差し出してみました。
仔牛でも体が大きいからか、吸う力はかなりのもの。なかなかの力強さでした。また口の中はザラザラしていて、とても温かかったです。痛くはなかったですが少しくすぐったく、わたしは少々苦手です…。
牛に慣れたところで哺乳体験を行いました。
前述の通り吸う力が強いので、しっかり持っていないと容器ごと持っていかれそうになります。上手く飲ませるコツは、少し上向きにして飲ませてあげること。ミルクを飲んでいる時は仔牛も真剣で、可愛いはずの牛の目が見開いてかなり怖くなっていました…。
牧草ロールのエサやり体験も
牛舎を移動。
先ほどは生まれたばかりの仔牛への哺乳体験を行いましたが、次はもう少し成長した牛へのエサやり体験を行いました。
仔牛のいる牛舎の中。
先ほどとは若干違い少し広めの牛舎でした。仔牛はとても人懐っこく、近づいたら臭いを嗅いできたり、ぺロペロと舐めてきたり。顔つきも整ってきていて、みんなとても可愛い顔をしていました。
臭いを嗅がれながら、仔牛とふれ合う妻。
手も服も牛にぺロペロ舐められて結構ベタベタになってましたが、仔牛が好きな妻はそれでも喜んで戯れてました。あまりに人懐っこかったので、可愛くてわたしもだんだんと愛着が湧いてきました。汚れることが気にならないのであれば、楽しいこと間違いなしです。
なお関ファームさんは乳牛を飼育しているので、牛舎にいる牛は全て牛乳の出るメスの牛。前述の「昨日生まれた仔牛」はオス。2ヶ月後くらいには別のファームへ移され、やがて肉牛となるそうです。
こちらがエサとなる牧草ロール。実際に目の前でみると、かなりの大きさでした。関ファームではこの牧草ロールを、1日当たり1つ分牛たちに与えているそうです。
先端が爪状になっている「フォーク」という道具でこの牧草ロールをほぐし、牛に与えていく作業を体験しました。
慣れるまで時間はかかりましたが、上手にほぐすことができました!
美味しそうに食べている牛たちを見ると何だか嬉しくなり、作業も楽しくなってきました。
山積みの牧草ロールと農業機材
次は酪農機械の見学です。
機械のある違う建物に移動しましたが、たくさんの牧草ロールが積み上げられていました。
こちらの建物には敷地内の除雪などに使うブルや、草を刈り取り牧草ロールを作る機械などがありました。機械によって使用するガソリンの量が1時間当たり90リットルを超えるものもあるそうです。酪農家ごとに全ての機械を保有している訳ではなく、地域の酪農家同士で協力し合っているそうですが、それでも初期投資が莫大なものになることは想像のつくところです。
別の建物にも除雪機を始め、他に3台ありました。
最後は搾乳体験!
最初の牛舎に戻って、最後は搾乳体験を行いました。
体の大きな大人の牛。お腹もお乳もかなり張っていました。
体が重くて立ち上がるのも一苦労。
まずは牛のおっぱいをキレイにしてから、乳搾りを行いました。
おっぱいの根本を抑えてから先端に向けて搾っていくと、ピューっと白いミルクが飛び出してきます。コツがあるのかな~と思ってましたが、根本さえきちんと押さえていればしっかりミルクが出てきました。力のある仔牛が吸い付いても大丈夫なくらいなので、搾るときにかなり力を入れてを入れても大丈夫な様です。
搾乳体験を行ったあとは、搾りたてのミルクの試飲の時間。
その準備の間に、牛の胃袋の説明をしてくれました。牛の胃袋が4つあるということくらいは知ってましたが、構造などは知らなかったのでとてもためになりました。牛には消化酵素がなく、代わりに一番大きな「第1胃」の中にいる微生物が草などを分解しているそうです。また「第2胃」は収縮を繰り返すことで、反芻(はんすう)を促しているのだとか。「第3胃」「第4胃」の役割については未だはっきりと分かってはいないそうです。
牛乳の準備ができたので、早速いただきました。
牛乳は一般的に冷蔵庫で保管することが多いため、冷やして飲むものと思っている人が多いそう。しかし酪農家さんに言わせれば、牛の体温に近い状態の牛乳が一番美味しいのだそうです。牛はもともと体温の高い動物なので、少し温めた牛乳をいただきましたが、甘さの際立つとても美味しい牛乳でした。ちなみに関ファームさんの牛乳は全量がサツラク牛乳に卸されていて、小売りは行ってません。できれば買って帰りたかったくらい美味しかったので、とても残念でした。
なお美味しい牛乳を生産するためには、牛舎で管理することが必須条件となる様です。牛にストレスを与えないために放牧をする牧場もありますが、牛乳の美味しさだけをみると一概に良いとは言えないのだとか。自然の草を食べることで牛乳が青臭くなったり、牛が運動をすることで牛乳の中の脂肪分が不足して味に影響が出たりするそうです。
人懐っこい看板ねこも
最後は牛ではなくて猫の話。
関ファームには2匹の猫がおり、牧場に出るネズミを退治するために飼っているのだそうです。どちらの猫もとても人懐っこく、触ってもモフモフしても全く逃げません。もう1匹の黒猫の方は、自分から近づいてきてスリスリしてくるくらいでした。とても可愛い看板ねこです。
次に向かったのは…
今回は関ファームさんで色々な形で牛とふれ合う事ができ、どれも貴重な体験となりました。また牛とのふれ合いもですが、生産者である川口谷さんの話も、わたし達にとってはとてもためになりました。一番印象が強かったのは、一般的に最上級と言われるA5ランクの牛の育て方。肉質を良くするために意図的にビタミンAを欠乏させ、肉にサシを入れていく…。普段食べている美味しい牛肉は弱った牛の肉であることが大半で、出荷前の牛にはビタミン不足の影響で視力が無くなった個体もいるのだとか…。実際に生産の現場に携わることがなければ知ることのできない、貴重な話をいただくことができました。
さて次はお昼ご飯の時間。ペコペコのお腹を満たしに向かいました。
<次に向かったのは…>
住所:江別市角山565-1